私は愛知県春日井市で「天ぷら酒房まあちゃん」を経営しながら、長年フードデリバリーの配送事業にも関わってきました。

店舗として配達員を迎える側。

法人として配達員を管理する側。

そして私自身も、実際に配達する側。

そのすべてを経験してきました。

以前の配送事業では、1日約20件ほどから始まった現場を、最終的には月6,000件規模まで経験しました。

社員、アルバイト、そして私自身も走りました。

だからこそ、最近のフードデリバリーを見ていて気になることがあります。

それは、

「配達員を増やすことに対して、配達員の質を守る仕組みが追いついているのか?」

ということです。

■ 最初に。真面目な配達員は本当にたくさんいる

今回、配達員の「質」について書きます。

でも、すべてのフードデリバリー配達員の質が悪いと言いたいわけではありません。

むしろ逆です。

私はこれまで、本当に一生懸命働く配達員をたくさん見てきました。

雨の日も走る。

暑い日も走る。

寒い日も走る。

店舗にきちんと挨拶する。

商品を丁寧に扱う。

交通ルールを守る。

お客様の料理を大切に届ける。

そんな配達員を何人も知っています。

だからこそ、一部のルールを守らない配達員の行動が許せないのです。

■ 「自由に働ける」と「何をしてもいい」は違う

フードデリバリーの魅力の一つは、自由な働き方です。

好きな時間に働ける。

副業でもできる。

週1日でもできる。

自分のペースで働ける。

頑張れば収入を増やすこともできる。

個人業務委託という働き方自体を、私は否定していません。

株式会社まあちゃんでも、業務委託ドライバーと仕事をしています。

でも、

「自由に働ける」

ことと、

「何をしてもいい」

ことは全く違います。

自由には責任が伴います。

■ 店舗は、大切な商品を配達員に預けている

飲食店にとって、料理は商品です。

注文が入れば、一生懸命料理を作ります。

それを容器に詰め、間違いがないか確認し、配達員に渡します。

そこから先は、配達員に任せるしかありません。

そしてお客様から見れば、

「どこの配達員が運んできたのか」

より、

「その店から頼んだ料理がどう届いたのか」

という一つの体験です。

商品がぐちゃぐちゃになって届けば、店舗の印象にも影響します。

配達員の態度が悪ければ、店舗まで悪く見られることがあります。

だから店舗側にとって、

「誰が運んでも同じ」

ではありません。

■ 実際にまあちゃんで起きた出来事

ある雨の日のことです。

デリバリーの注文が入り、一人の配達員が商品を取りに来ました。

店舗側の画面では、その配達員は「モーターバイク」でピックアップに来るという表示になっていました。

ところが、私は配達員を見て違和感を持ちました。

外は雨。

それなのにカッパを着ていない。

ハーフパンツにビーチサンダル。

「この雨の中、本当にバイクで来たのか?」

そう思って、実際にどんな車両で来ているのか確認しに行きました。

すると、私が確認したのはモーターバイクではありませんでした。

白ナンバーの自動車でした。

店舗側の画面ではモーターバイク。

実際に来ていたのは自動車。

私は問題があると考え、警察へ通報しました。

■ 警察へ通報した後、店のブロック塀に接触して立ち去った

さらに驚いたのは、その後です。

その配達員は車でその場を離れようとしました。

その際、店舗敷地内にあるブロック塀に車を接触させました。

しかし、こちらに申し出ることなく、そのまま立ち去りました。

なぜその人が立ち去ったのか。

本人の頭の中までは分かりません。

ただ私は、その一連の行動を見て、

「本人にも、問題のある配送をしているという認識があったのではないか」

と感じました。

これは私が店舗で実際に経験した出来事です。

■ これまでにも警察へ相談・通報したことがある

こうしたことは、一度だけではありません。

私はこれまでにも、配送方法に問題があると判断したケースについて、何人か警察へ相談・通報しています。

店舗が勝手に人を取り締まりたいわけではありません。

法令違反かどうかを最終的に判断するのは、警察などの関係機関です。

だから明らかにおかしいと感じた場合には、店舗だけで判断して終わらせるのではなく、関係機関へ相談する。

私はその方がいいと思っています。

■ なぜ私がそこまで厳しく言うのか

「そこまでしなくてもいいんじゃない?」

と思う人もいるかもしれません。

でも私には、許せない理由があります。

私はこれまで、

本当に過酷な環境でも一生懸命配達してきたスタッフを見てきたからです。

■ 屋根付きバイクでも、大雨ならびしょ濡れになる

株式会社まあちゃんで配送に使っていたバイクは、ジャイロキャノピーという屋根付きの三輪バイクでした。

屋根があるので、普通のバイクより雨には強いです。

でも、

屋根があるから濡れないわけではありません。

大雨になれば濡れます。

横から雨は入ってくる。

足元も濡れる。

長時間走っていれば服も濡れる。

そんな中でもスタッフは配達していました。

お客様が料理を待っているからです。

■ 雨でスマートフォンがショートし、煙が出たドライバーもいた

今でも忘れられない出来事があります。

大雨の中で配達していたドライバーのスマートフォンに水が入り、ショートして煙が出たことがありました。

配達員にとって、スマートフォンは仕事道具です。

注文を確認する。

店舗へ向かう。

お客様の住所を確認する。

配達を完了する。

ほとんどすべての仕事にスマートフォンを使います。

そのスマートフォンに水が入り、煙が出るほどの雨の中でも、現場のスタッフは走っていました。

もちろん、そこまでして仕事を続けろという意味ではありません。

安全が最優先です。

私が伝えたいのは、

それくらい厳しい環境の中でも、真面目に仕事をしていた人たちがいたということです。

■ 自転車で一日中、雨に打たれながら走ったドライバー

そして、今でも強く印象に残っているドライバーがいます。

その子は自転車で配達していました。

屋根なんてありません。

雨をまともに受けます。

それでも雨の日、一日中雨に打たれながら配達していました。

しかも、

「自転車だから配達件数が少ない」

というドライバーではありませんでした。

バイクで走っているドライバーにも負けないくらいの件数を配っていました。

雨の中、自転車をこいで店舗へ向かう。

商品を受け取る。

商品をできるだけ濡らさないように守る。

お客様のところまで走る。

届けたら、また次の店舗へ向かう。

それを一日繰り返す。

私は経営者として、その姿を実際に見てきました。

■ だから私は、ルールを守らない配達を許せない

雨の日に自転車で一日中走った人がいる。

屋根付きバイクでもびしょ濡れになりながら走った人がいる。

スマートフォンに水が入り、ショートして煙が出るほどの雨を経験した人もいる。

必要な車両を準備する。

保険に入る。

雨具を準備する。

交通ルールを守る。

安全に気をつける。

店舗の商品を大切にする。

それでも一件、一件、真面目に配達する。

私は、そんなスタッフたちを見てきました。

だからこそ、

ルールを守らずに同じ仕事をする人を見ると、許せないのです。

これは単なる正義感ではありません。

真面目にやっている人がバカを見る業界にしたくないからです。

■ 一部の配達員のために、真面目な人まで悪く見られる

これが一番悔しいことです。

一部の配達員が問題を起こす。

店舗で横柄な態度を取る。

商品を雑に扱う。

車両のルールを守らない。

事故やトラブルを起こしても責任を取らない。

そういうことが積み重なれば、

「フードデリバリー配達員は質が悪い」

と思われるようになります。

でも、それは違います。

本当に真面目な配達員を私はたくさん知っています。

だから、

「配達員の質を守る」

ということは、

お客様を守ることだけでも、

店舗を守ることだけでもありません。

真面目に働いている配達員を守ることでもある。

私はそう思っています。

■ 個人業務委託中心になった今、「誰が質を管理するのか」

以前、私たちが法人として配送していた時は、会社として配達員を管理していました。

何か問題があれば注意する。

事故やトラブルがあれば対応する。

その日の出来事を共有する。

悪かったことがあれば改善する。

どうすればもっと良い配送ができるのかを話す。

会社として仕事を受ける以上、

「好き勝手に配達すればいい」

とは考えていませんでした。

だから私は、個人業務委託中心の現在のフードデリバリーを見ていて疑問に思います。

自由度を高くすることはいい。

でも、

「その配送品質を最終的に誰が管理するのか?」

ここが非常に重要だと思います。

■ 配達員の「数」だけではなく、「質」を守る企業努力を

フードデリバリー会社にとって、配達員の確保は重要です。

配達員がいなければ、注文が入っても料理を届けられません。

だから、

登録しやすくする。

自由に働けるようにする。

配達員を募集する。

それも必要です。

でも私は、

「登録配達員○万人」

という数だけを競う時代ではないと思っています。

どんな車両で配送しているのか。

登録内容と実際の車両が一致しているのか。

必要なルールを守っているのか。

重大な店舗トラブルを繰り返していないか。

商品を丁寧に扱っているのか。

事故や重大な苦情があった時、きちんと確認しているのか。

そして、

真面目な配達員がきちんと評価されているのか。

配達員の「数」を増やすこと。

それと同じくらい、

配達員の「質」を守ること。

これもプラットフォーム側の企業努力ではないでしょうか。

■ 自由には責任がある

私は個人業務委託という働き方には賛成です。

会社に縛られず、自分で働く時間を決める。

副業として働く。

週1日だけ働く。

自分の努力を収入につなげる。

良い働き方だと思います。

でも、

自由には責任があります。

交通ルールを守る。

車両に関するルールを守る。

店舗の商品を大切にする。

事故を起こしたら報告する。

店舗の設備を傷つけたら申し出る。

店舗スタッフに最低限の礼儀を持つ。

そして、

「お客様の大切な料理を預かっている」

という意識を持つ。

社員でも、

アルバイトでも、

個人業務委託でも、

仕事として報酬を受け取る以上、そこは同じだと思っています。

■ そして2026年、株式会社まあちゃんはロケットナウ配送へ

株式会社まあちゃんは、これまでの配送経験を生かして、ロケットナウの配送事業にも取り組んでいきます。

これからロケットナウ配達員も募集していきます。

副業でもいい。

週1日でもいい。

短時間でもいい。

未経験でもいい。

Uber Eatsや出前館など、他のフードデリバリーを経験してきた方も歓迎します。

働き方は自由でいいと思っています。

でも、

「人数だけ集めればいい」

とは考えていません。

■ ロケットナウで目指すのは「真面目な人が報われる配送」

株式会社まあちゃんがロケットナウの配送で大切にしたいのは、当たり前のことです。

ルールを守る。

安全運転をする。

店舗を大切にする。

商品を大切にする。

お客様を大切にする。

事故やトラブルがあれば、きちんと報告する。

そして真面目に働いた人が、きちんと評価される。

そんな配送チームを作りたいと思っています。

速ければ何をしてもいい。

件数を配れば何をしてもいい。

そんな配送にはしたくありません。

件数も大切です。

効率も大切です。

稼ぐことも大切です。

でも、

その前に「仕事」であることを忘れてはいけない。

■ 配送は、最後は「人」

どれだけ便利なアプリを作っても、

どれだけAIが進化しても、

どれだけシステムが便利になっても、

最後に料理をお客様へ届けるのは人です。

店舗から商品を受け取る人。

大切に運ぶ人。

お客様へ渡す人。

だから、

配達員の質は、そのままサービスの質だと私は思っています。

■ 春日井から、もう一度「質を大切にする配送チーム」をつくる

私はこれまで、本当にいろいろな配達員を見てきました。

でも私の中で「良い配達員」として一番印象に残っているのは、派手な人ではありません。

雨の日に自転車で一日中走り、

バイクの配達員にも負けないくらいの件数を配ったスタッフ。

大雨でびしょ濡れになっても、一件、一件届けたスタッフ。

そういう人たちです。

私は、そんな人こそ「プロの配達員」だと思っています。

だからこれから株式会社まあちゃんがロケットナウで配送チームを作るなら、

真面目な人が損をしない組織にしたい。

ルールを守る人が評価される組織にしたい。

店舗から、

「まあちゃんの配達員なら安心して商品を渡せる」

と言ってもらえるチームにしたい。

お客様から、

「この人なら安心できる」

と思ってもらえる配達員を増やしたい。

■ 最後に

今回、配達員の質について少し厳しいことを書きました。

でも私は、

「最近の配達員はダメだ」

と言いたくてこの記事を書いたわけではありません。

むしろ逆です。

本当に頑張っている配達員を知っているから書きました。

雨の日にずぶ濡れになりながら走った人。

自転車でバイク並みの件数を配った人。

大雨の中でも、お客様の料理を届け続けた人。

そんな人たちと、

ルールを守らない人を、

同じ「配達員」という言葉だけで一括りにしてほしくない。

自由には責任がある。

仕事には品質がある。

そして、

真面目に働く人が報われなければ、良い業界にはならない。

配達員の「数」ではなく「質」。

株式会社まあちゃんは、これまでの配送経験を生かして、ロケットナウでもそこを大切にしていきたいと思っています。

春日井から、もう一度。

店舗からも、お客様からも、

そして一緒に働く配達員からも信頼される配送チームを作る。

それが、これから株式会社まあちゃんが目指す配送です。

株式会社まあちゃん
代表取締役 猪俣 輝晃